家族


サッカーの試合で水上町の方へ遠征に行った、その日

玲音は目を疑う光景を目にした

バスの中から一瞬だったが‥‥

あれは父だと確信があった

だから‥友達に悩みを相談した

サッカークラブに入った時からの親友、中司亮平は、大人びた子供で兄貴分みたいな存在になっていた

亮平は悩む玲音に

「なら確かめに行けよ!」と言った

悩むならまずは行動あるぺし!

それをモットーにしているのが亮平だった

玲音は「意図も簡単に言ってくれたよぉ」と笑った

「父親に気付かれたくねぇんだろ?
なら女の子の格好をして見に行けよ!
俺も着いて行ってやるから安心しろよ!
俺はお前の父ちゃんの顔は知らねぇからな、バレたりしねぇだろ?」

「‥‥怖いよ‥‥」

「女装がか?」

「違う‥‥父さんに別の家庭があったら‥‥」

「四の五の謂うな!
お前が母さんを支えて生きて行かねぇとダメなんだろが!弱音を吐くんじゃねぇよ」

亮平の言ってる事は正しかった

亮平の両親は離婚していた

父親が女を作って家を出てしまったからだ‥‥


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