家族


机に突っ伏していると息子の玲音がサッカークラブから帰って来た

「母さん!どうしたの?」

揺すぶられ、意識は覚醒する

我が子の声で‥‥

亜沙美は母になるのだ

「玲音、サッカークラブの合宿はどうしたの?」

気丈な声が出て亜沙美は安心する

この子を育てる為に今の私はいるのだ

この子の幸せだけが亜沙美の生き甲斐だった

「母さん、何言ってるの
今日の4時帰るって言ったじゃんか!
母さんが迎えに来てくれないから、松谷の母さんに乗せて来て貰ったんだよ!」

「あぁ‥‥ごめんね‥‥」

佳奈の所から帰って来て‥‥

何をしていたんだろ?

玲音が帰って来る日を忘れて‥‥

私‥何してるんだろ?



亜沙美は玲音を抱き締めた

「ごめんね玲音」

「良いよ母さん!
俺は大丈夫だから‥‥」

「レオ‥‥レオ‥‥」

亜沙美は泣いていた

玲音は震える体と、冷たくなって逝くTシャツで、母が泣いているのを感じていた




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