可愛い女性の作られ方
それに、他班の人間とも気楽に話せるいい機会だ。
加久田は有能だから、もっといろいろ顔を広げとくべきだと思う。
ふらつき始めた足で、ひとり家路につく。
駅に向かいかけて、歩くことすらおぼつかなくなり始めていることに気が付いた。
仕方なく、タクシーを拾う。
コンビニへ寄ってもらい、スポーツドリンクを買う。
他にも買わなきゃいけないものが歩きもするが、あたまが酷く重くて働かない。
マンションの部屋の鍵を開けてドアを開けると、視界が歪んだ。
すんでのところで壁に手をついて、倒れることだけは免れた。
どうにか部屋に入り、スーツまではなんとか脱いだものの……その辺りから記憶が曖昧だ。
……額が冷たくて気持ちいい。
ベッドに座っている誰かが、優しく私の髪を撫でてくれる。
それだけで、体が少し楽になった気がするのはなんでだろ?
「……裕紀……?」
びくりと一瞬、髪を撫でる手が震えた気がした。
でも、なにも考えられなくて、意識はどんどん沈んでいった。
目が覚めたら朝になっていた。
……昨日、誰かいた気がするんだけど。
まだ熱があるのか、はっきりしないあたまで部屋の中を見渡すと……加久田が部屋の隅で膝を抱えて寝ていた。
「なんで……!?
加久田……!?」
「ああ先輩。
起きたんですか。
あ、まだ起き上がらないでください」
慌てて起き上がろうとした私を、傍に来た加久田が額を押さえつけてまた寝かせる。
「ほら、まだ熱、下がってないですから」
「なんでおまえがいるっ……!?」
焦っている私なんか無視して加久田は私に体温計を挟み、額に貼ってあった冷却ジェルを張り替える。
「……高城(たかぎ)先輩に頼まれたんですよ。
あの顔は絶対、今頃熱出してぶっ倒れてるから様子見てきてくれ、って。
鍵はきっと、開けっ放しになってるからっていわれて半信半疑だったんですが、来たら鍵、開いてるし。
先輩、倒れてるし」
「なんでひ……高城が?」
ピピピッ、と体温計が電子音を立て、私よりも早く加久田の手が体温計を取る。
「友達としては心配だけど、元彼としては行けないとかなんとかいってましたね。
……三十八度二分。
今日は仕事休んで、大人しく寝ててください」
「……昨日私、なんかいってたか?」
「……なにも。
ほら、薬、飲んでください」
一瞬、加久田がいままでみたことないような顔、した気がした。
けど、次の瞬間にはいつもの人懐っこい笑顔になっていて、よくわからなかった。
加久田の手を借り、体を起こして渡された薬を飲む。
「……薬、買ってきてくれたのか。
それにこれも」
額に貼られた冷却ジェルを示すと、加久田は困ったように笑った。
「先輩んち、そういうのほんと、ないから」
加久田が、困ったように笑った。
加久田は有能だから、もっといろいろ顔を広げとくべきだと思う。
ふらつき始めた足で、ひとり家路につく。
駅に向かいかけて、歩くことすらおぼつかなくなり始めていることに気が付いた。
仕方なく、タクシーを拾う。
コンビニへ寄ってもらい、スポーツドリンクを買う。
他にも買わなきゃいけないものが歩きもするが、あたまが酷く重くて働かない。
マンションの部屋の鍵を開けてドアを開けると、視界が歪んだ。
すんでのところで壁に手をついて、倒れることだけは免れた。
どうにか部屋に入り、スーツまではなんとか脱いだものの……その辺りから記憶が曖昧だ。
……額が冷たくて気持ちいい。
ベッドに座っている誰かが、優しく私の髪を撫でてくれる。
それだけで、体が少し楽になった気がするのはなんでだろ?
「……裕紀……?」
びくりと一瞬、髪を撫でる手が震えた気がした。
でも、なにも考えられなくて、意識はどんどん沈んでいった。
目が覚めたら朝になっていた。
……昨日、誰かいた気がするんだけど。
まだ熱があるのか、はっきりしないあたまで部屋の中を見渡すと……加久田が部屋の隅で膝を抱えて寝ていた。
「なんで……!?
加久田……!?」
「ああ先輩。
起きたんですか。
あ、まだ起き上がらないでください」
慌てて起き上がろうとした私を、傍に来た加久田が額を押さえつけてまた寝かせる。
「ほら、まだ熱、下がってないですから」
「なんでおまえがいるっ……!?」
焦っている私なんか無視して加久田は私に体温計を挟み、額に貼ってあった冷却ジェルを張り替える。
「……高城(たかぎ)先輩に頼まれたんですよ。
あの顔は絶対、今頃熱出してぶっ倒れてるから様子見てきてくれ、って。
鍵はきっと、開けっ放しになってるからっていわれて半信半疑だったんですが、来たら鍵、開いてるし。
先輩、倒れてるし」
「なんでひ……高城が?」
ピピピッ、と体温計が電子音を立て、私よりも早く加久田の手が体温計を取る。
「友達としては心配だけど、元彼としては行けないとかなんとかいってましたね。
……三十八度二分。
今日は仕事休んで、大人しく寝ててください」
「……昨日私、なんかいってたか?」
「……なにも。
ほら、薬、飲んでください」
一瞬、加久田がいままでみたことないような顔、した気がした。
けど、次の瞬間にはいつもの人懐っこい笑顔になっていて、よくわからなかった。
加久田の手を借り、体を起こして渡された薬を飲む。
「……薬、買ってきてくれたのか。
それにこれも」
額に貼られた冷却ジェルを示すと、加久田は困ったように笑った。
「先輩んち、そういうのほんと、ないから」
加久田が、困ったように笑った。