空に向かって

私が中学二年生の時だった。

母が浮気相手を家に連れ込んだのが事の発端。

単身赴任の父は少し離れた土地で一人で暮らしていて、私たちにもよくお土産を送ってくれた。

私たちは寂しさこそあるけれど、お土産や電話を欠かさずくれる父が大好きだった。

だけど、母は違った。

寂しさでどこか可笑しくなっていっていた。

それは私や兄や姉もどことなく気がついたことだった。

だけど、それを放置して自分のことばかり気にしていた時期だった。

今でも忘れないあの暑い夏の日。

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