空に向かって

ソファで男のモノを口で咥えている母の姿が目に飛び込んできた。

夕方どき。

外ではミンミンと蝉が鳴くこの季節に、母は男を連れ込んで。

あろうことか、男とヤッていた。

「なに娘?」

ニヤニヤと汚い笑みで私を見る男。

私に見られているのにも関わらず、男のモノを咥えたままの母。

ソファがギシギシと鳴る音が耳から離れなかった。

堪らず私は家から飛び出した。

靴も履かずに、住宅街から飛び出して当てもなくフラフラと彷徨った。

日はすっかり落ち、気がつけばあたりは真っ暗になっていた。

< 17 / 321 >

この作品をシェア

pagetop