空に向かって

走って、走って、喉が渇いた私はポケットに入っていた小銭を取り出し、近くにポツンと立っていた自動販売機にお金を入れた。

お水を買い、自動販売機の横にうずくまる。

何分こうしていただろう。

いや、何時間だったのかな?

気がつけば、だれかが目の前に立っていた。

「大丈夫?」

そう尋ねられて、顔を見上げればそこには綺麗な男が立っていた。

いや、男の子と言った方がいいのではないだろうか。

多分年は一緒くらい。もしくは少し上。

茶色い髪は癖っ毛なのか、ふわふわしていて猫みたいだったのが印象的。

彼は私の横に座り、

「今日暑いよね」

そう言って小一時間くらい話し相手になってくれた。





これが水樹さんとの出会いだった。



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