空に向かって


「…もう無理」

気がつけばそう口に出していた。


「お前本当にどうしたんだよ」

先程の冷たい目ではなく、いつもの秀虎に戻った口調でそう尋ねてくる。

…が。私は、


「もうやめて」




「友達も…幼馴染みも…こうやって家に来るのも校外で馴れ馴れしく話しかけてくるのも、電話掛けてくるのも…」

溢れ出る涙を止めることは出来なかった。

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