空に向かって
「沙織ー!無事だったか!!」
猛突進してきそうな勢いの秀虎に松葉杖の片方を上げて牽制する。
今ぶつかってきたらまじでシャレにならない。
「良かったね、軽傷で」
気がつけば隣に立っていた水樹さんはこれを軽傷と言ったが、私にとっては大怪我だ。
「アンタ本当に鈍臭そうな顔してるわねぇ」
水樹さんの横に立っていたオネェ坊主は私の足を見てケラケラ笑う。
…なんだこの失礼なやつは。
「あら?アタシ照彦っていうの、照ちゃんって呼んでいいわよ」
このなりで照彦と名乗る坊主。
「意外と男らしい名前なんですね」
「アタシ実家が寺なのよ」
……実家が寺で坊主は納得出来るよ。
「…そうですか」
それ以上はあえて突っ込まなかった。