恋愛ゲーム
言葉と共に何か固いものが
手のひらの上に置かれる


「だから結婚してくれ」

「……………………へ?」


付け加えられた言葉と
手のひらの上に置かれたそれに思考が停止する


手のひらの上には高価そうな箱に入った指輪
指輪自体もとても高そうなものだった



「こんな風にくだらないことができるのも
一緒にいて楽だと思うのもお前だけだ」


「どきどきしたいなら
俺がいくらだってさせてやる」


「だから、これからも隣にいてくれ」



……



「………プロポーズ?」


ようやく現状に思考が追い付く

発した声は我ながら
ものすごく間の抜けたものだった


「それ以外、何に聞こえるんだ?」

「…」

「お前、俺が好きだろ」

「…うん」

「俺もお前が好きだ」

「…知ってる
分かりづらいけど」

「これからは、ゲーム以外の時も
ちゃんと表現するようにする」


「だから、受け取ってくれるか?」


箱の指輪を取り出して問いかけてくる



「…」



遅れてやってきた感情が目から溢れる


「…っ、はい…っ」


頷いて泣きじゃくる私の手を取り
あいつが指輪をはめる

サイズなんていつの間に調べたのか


「一生大事にする」


見たことないくらい嬉しそうに微笑んで
私の頬に手を置く


「うん」

流れる涙を拭ってくれるあいつ
泣きながらもめいいっぱいの笑顔を返す


「愛してる」


そう言ってあいつは私にキスをした



最後の最後まで



本当に私はこの人には敵わない
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