ボクらの愛しい生徒会長様には秘密があるらしい。
《 栄side 》
靴を指定の上履きに履き替えてから改めて校舎内を見回してみれば学校とは思えないような広さと内装の光景が広がっていた。
苦笑が漏れるのは仕方ねぇだろ。
ヒノが言っていた通り、突き当たりの階段を上がっていけば壁に飾ってある絵画も高級そうなものばかりで最早ここがどこだが忘れそうだ。
(本当にすげぇ所に来ちまったな俺…。)
ほんの1週間前までは普通の高校生活を送っていたのが嘘のよう。
とある事情でこの学園に通うことになっちまったけど…無事にやっていけるのか不安しかない。
学校の下見も何も出来ず、言われるがままにこの学園への転入をせざるを得えなくなった俺は今日が全て初見。
パンフレットに付属された地図を頼りに校舎に行くしかなかったが敷地の広さを正直舐めていた。
重度の方向音痴である俺が無事に職員室に辿り着く可能性は低いと思い、1時間前には学園に着くようにしていたのに。
気付いたら薔薇園て…学園に薔薇園とか絶対にいらねぇだろ。
『私の名前は陽乃だ。…ほら、着いたぞここが校舎だ。これから学園生活を十分に楽しめ』
そんな迷いに迷った薔薇園で会ったヒノという不思議な女。
顔にひょっとこのお面を付けて急に話し掛けられれば誰だって驚くし怖いだろ。容姿で分かるのは腰まであるストレートの黒髪だけ。
容姿のインパクトも強ければ会話のテンポも独特、けど別に嫌悪感とかは湧かなかった。
むしろ話しやすい。
だが、何故か俺の名前とか下駄箱の位置とか職員室を探していることとかめっちゃ知ってるのは普通に怖かったけどな。
「あれ、もしかして転入生の七瀬川君?」
「そうですけど…」
「道に迷ってるかなぁと思って今から見に行こうとしたんだけど大丈夫だったみたいだね。さぁ、どうぞ。職員室はこっちだよ」
「…ありがとうございます」
階段を上りきったその時、曲がり角からちょうど出てきたスーツの上に白衣をきた男。
ちゃんと見えているのか分からない閉じているように見える目と重力に逆らった天パが印象的である。
白衣を着てるってことは生物、物理、保険医のどれかの教員だろうか。
職員室もやはりと言うべきかどこのホテルだよってくらい豪華な内装だった。
座るように促された革張りのソファーも驚く程ふかふかで昼寝に最適だ、なんて少し現実逃避してみたり。
「まずは朝陽学園にようこそ。僕は2-Aクラス担任の犬飼 桃(イヌカイ モモ)。君の担任だよ」
「七瀬川 栄です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。もう朝礼も終わるだろうからもう少ししたら教室に向かおっか」
犬飼先生が出す雰囲気はゆったりとしてて本当にこのソファーで寝そうだ。
普通に緊張してたのにインパクトの強過ぎるヒノとかマイペースな犬飼先生と話してたら何か色々ふっとんじまった。
クラスで自己紹介とか…正直ダルいしかねぇし。
「さっきも言ったけど初めてこの学園に来たんでしょう?良く迷子にならなかったねぇ…大抵の慣れてない子達は皆迷子になるんだよ」
「実は迷ってたんですけど道案内してくれた生徒さんがいてここまで来れたんです」
「生徒役員の誰かかな?名前は聞いた?」
「"ヒノ"としか名前は聞いてないんですけど…」
「え?!本当?!それは珍しいや!」
直前までゆったりとした話し方だった犬飼先生が"ヒノ"の名前を出した瞬間に過剰に反応してこっちまで驚く。
やっぱりアイツただもんじゃねぇな?
普通のやつはまず学校にひょっとこのお面を付けてこない。
「ごめんごめん、あの子がこの時間に外を歩いてるのってかなり珍しかったから驚いちゃった」
「生徒なのに珍しいんですか」
「うん。転入初日からレア人物に会えるなんてラッキーだねぇ…良いことあるんじゃない?」
「レア…」
アイツはマジで何者なんだ。
何か怖くて聞けねぇんだけど…実は妖怪でしたとか言わねぇよな?な?
ぐるぐると考えていたら朝礼が終わり、生徒達が教室に戻ってきたと言うのでヒノのことは聞けぬまま移動することになってしまった。
教室に移動する間に犬飼先生からも教室や施設の場所説明を軽くされたが迷いまくる自信しか湧かないのだが。
ちなみにクラス編成はSクラス、Aクラス、Bクラス、Cクラスに分かれている。
地下を含め、1階と2階は職員室や保健室、コンピューター室から音楽室まで様々な教室が設備。
3階と4階がB、Cクラスと被服室や美術室。
5階と6階がS、Aクラスと多目的教室。
そして驚くのがここからだ。
俺が今いるのは第一校舎でこの隣には第二校舎が存在する。
覚える場所が多過ぎて第二校舎やその他の施設は確認するのを断念した。
パンフレットがバカ分厚いのがいけねぇ。
「さて、ここが今日から君のクラスだ。僕が中から名前を呼んだら入ってきてね」
「分かりました」
犬飼先生が扉を開けると中から生徒達の話し声が聞こえてくる。
今更、心臓バクバクいってきたわ。
(学園生活を十分に楽しめ…ね。)
ヒノの言葉を思い出す。
色々と不安しかねぇけどやってやろうじゃん。
首もとに光る銀色のリングを俺はギュッと片手で力強く握り締めた。
靴を指定の上履きに履き替えてから改めて校舎内を見回してみれば学校とは思えないような広さと内装の光景が広がっていた。
苦笑が漏れるのは仕方ねぇだろ。
ヒノが言っていた通り、突き当たりの階段を上がっていけば壁に飾ってある絵画も高級そうなものばかりで最早ここがどこだが忘れそうだ。
(本当にすげぇ所に来ちまったな俺…。)
ほんの1週間前までは普通の高校生活を送っていたのが嘘のよう。
とある事情でこの学園に通うことになっちまったけど…無事にやっていけるのか不安しかない。
学校の下見も何も出来ず、言われるがままにこの学園への転入をせざるを得えなくなった俺は今日が全て初見。
パンフレットに付属された地図を頼りに校舎に行くしかなかったが敷地の広さを正直舐めていた。
重度の方向音痴である俺が無事に職員室に辿り着く可能性は低いと思い、1時間前には学園に着くようにしていたのに。
気付いたら薔薇園て…学園に薔薇園とか絶対にいらねぇだろ。
『私の名前は陽乃だ。…ほら、着いたぞここが校舎だ。これから学園生活を十分に楽しめ』
そんな迷いに迷った薔薇園で会ったヒノという不思議な女。
顔にひょっとこのお面を付けて急に話し掛けられれば誰だって驚くし怖いだろ。容姿で分かるのは腰まであるストレートの黒髪だけ。
容姿のインパクトも強ければ会話のテンポも独特、けど別に嫌悪感とかは湧かなかった。
むしろ話しやすい。
だが、何故か俺の名前とか下駄箱の位置とか職員室を探していることとかめっちゃ知ってるのは普通に怖かったけどな。
「あれ、もしかして転入生の七瀬川君?」
「そうですけど…」
「道に迷ってるかなぁと思って今から見に行こうとしたんだけど大丈夫だったみたいだね。さぁ、どうぞ。職員室はこっちだよ」
「…ありがとうございます」
階段を上りきったその時、曲がり角からちょうど出てきたスーツの上に白衣をきた男。
ちゃんと見えているのか分からない閉じているように見える目と重力に逆らった天パが印象的である。
白衣を着てるってことは生物、物理、保険医のどれかの教員だろうか。
職員室もやはりと言うべきかどこのホテルだよってくらい豪華な内装だった。
座るように促された革張りのソファーも驚く程ふかふかで昼寝に最適だ、なんて少し現実逃避してみたり。
「まずは朝陽学園にようこそ。僕は2-Aクラス担任の犬飼 桃(イヌカイ モモ)。君の担任だよ」
「七瀬川 栄です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくね。もう朝礼も終わるだろうからもう少ししたら教室に向かおっか」
犬飼先生が出す雰囲気はゆったりとしてて本当にこのソファーで寝そうだ。
普通に緊張してたのにインパクトの強過ぎるヒノとかマイペースな犬飼先生と話してたら何か色々ふっとんじまった。
クラスで自己紹介とか…正直ダルいしかねぇし。
「さっきも言ったけど初めてこの学園に来たんでしょう?良く迷子にならなかったねぇ…大抵の慣れてない子達は皆迷子になるんだよ」
「実は迷ってたんですけど道案内してくれた生徒さんがいてここまで来れたんです」
「生徒役員の誰かかな?名前は聞いた?」
「"ヒノ"としか名前は聞いてないんですけど…」
「え?!本当?!それは珍しいや!」
直前までゆったりとした話し方だった犬飼先生が"ヒノ"の名前を出した瞬間に過剰に反応してこっちまで驚く。
やっぱりアイツただもんじゃねぇな?
普通のやつはまず学校にひょっとこのお面を付けてこない。
「ごめんごめん、あの子がこの時間に外を歩いてるのってかなり珍しかったから驚いちゃった」
「生徒なのに珍しいんですか」
「うん。転入初日からレア人物に会えるなんてラッキーだねぇ…良いことあるんじゃない?」
「レア…」
アイツはマジで何者なんだ。
何か怖くて聞けねぇんだけど…実は妖怪でしたとか言わねぇよな?な?
ぐるぐると考えていたら朝礼が終わり、生徒達が教室に戻ってきたと言うのでヒノのことは聞けぬまま移動することになってしまった。
教室に移動する間に犬飼先生からも教室や施設の場所説明を軽くされたが迷いまくる自信しか湧かないのだが。
ちなみにクラス編成はSクラス、Aクラス、Bクラス、Cクラスに分かれている。
地下を含め、1階と2階は職員室や保健室、コンピューター室から音楽室まで様々な教室が設備。
3階と4階がB、Cクラスと被服室や美術室。
5階と6階がS、Aクラスと多目的教室。
そして驚くのがここからだ。
俺が今いるのは第一校舎でこの隣には第二校舎が存在する。
覚える場所が多過ぎて第二校舎やその他の施設は確認するのを断念した。
パンフレットがバカ分厚いのがいけねぇ。
「さて、ここが今日から君のクラスだ。僕が中から名前を呼んだら入ってきてね」
「分かりました」
犬飼先生が扉を開けると中から生徒達の話し声が聞こえてくる。
今更、心臓バクバクいってきたわ。
(学園生活を十分に楽しめ…ね。)
ヒノの言葉を思い出す。
色々と不安しかねぇけどやってやろうじゃん。
首もとに光る銀色のリングを俺はギュッと片手で力強く握り締めた。