ボクらの愛しい生徒会長様には秘密があるらしい。
こうして時々、美鶴はよく分からないところで機嫌を悪くする。

普通に話していたかと思えば何かのきっかけで不機嫌スイッチが入り、彼の毒舌総攻撃を食らわされるのだ。

何でそんな怒っているのか聞いても教えてくれないし、あまりにも理不尽だと思う。


「今の貴女に言ったところで何も伝わらないことは理解しているのですが…困ったことにこれだけは抑えられないんですよ」
『だから聞いているではないか。何に対して怒ってるんだと』
「分からないからいつまで経っても貴女はお子様なんですバ会長」
『グサリときた。泣くぞ』
「ちょっと~お二人さん。いつまでイチャついてるんスか?撤収作業済みましたんで早く帰るッスよ~」


"お子様"やら"バ会長"やら今日はいつにも増してピリついてるなと思っていれば良き助っ人が参上してくれた。

気だるげな雰囲気を纏わせた彼女は生徒会書記の東條 凛々(トウジョウ リリ)。

身長が148cmと小柄な彼女だが柔道、剣道、合気道など色々な武道を習得しているので彼女も怒らせると危険人物と化すので要注意だ。

この前、偶然にも筋肉ムキムキの柔道部員に対して余裕で寝技決めてたのを目撃したしな。

相手の男子が涙目だったぞ。


「まだ赤ちゃんレベルの会長にそっち方面の話をしても無駄ッスよ副会長~」
「本当に…これ程鈍い人は初めてです。ですが、だからこそ面白いんですけどね」
「副会長の笑顔マジ怖ッス」
「失礼な」


凛々も美鶴と同様に私の分からない分野の会話をよくしている。

二人で深刻そうに話している光景を多々見かける為、深い仲なのかと思って付き合っているのかを聞いてみればその時は二人同時に頭を叩かれた。

その後に自分が失言をしたと私はちゃんと学んだからな。

分からない分野の話をする時の二人の間には絶対に入らないと決めたのだ。これぞ自己防衛。


『おや?さっきまで杏(アンズ)も1階にいた筈だが…どこに行ったんだ?』
「桃ちゃんが自分達に渡し忘れてた書類があったらしくて~それを貰いに行ったッスよ~」
『相変わらずのおっちょこちょいだな桃先生』
「おっちょこちょいもあそこまで極めると最早清々しいッスよね~」


1階に向かえばさっきまでいた杏がおらず、聞けば桃の教室に急いで書類を受け取りに向かったという。

どうやら朝礼中に他の教員から質問された書類内容に全く心当たりがなく、犬飼先生から一週間前に渡された筈だと言われたらしい。


(しかも期限が明日までとか…桃先生よ、それはいかんよ。)


ちなみに名前は女の子っぽいが杏は歴とした男であり、我が生徒会の会計を担っている。

フルネームは犬飼 杏(イヌカイ アンズ)で、生徒会顧問の犬飼 桃先生の弟だ。

これが驚く程二人は顔がそっくりで、杏に見せて貰った子どもの時の写真なんか背くらいしか違いがなかった。


「取り敢えず僕達は先に生徒会室に行ってましょう。新入生歓迎プログラムに加え、仕事は山ほどありますからね」
「うへぇ~…入学式の仕事が終わったばっかりなのに~。辛いの極みッス~…」
『糖分の大量買い決定だなこれは』


生徒会は今日も今日とて大忙しだ。
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