【完】Mrionation


それは、段々となかなかお見舞いに来なくなった彼のせいでもあった。

会えない時間の歯痒さは、散々経験してきたのに…焦る気持ちは止まらない。

彼のことだから、仕事で忙しいのだろう。


でも、もしかして…?


本当はそんな疑いを掛けたくない。


けれど、私が距離を置く前から…彼は私に対して余所余所しい態度を取ることがあって、自分から仕掛けたことだとしても…寂しかった。

振り向いて欲しい。
笑い掛けて欲しい。

何よりも、お前が大事だと、抱きしめて欲しい。

それが、叶わないことだと分かってしまえば…後は何処でどう線引きをしなければならないかを考えなきゃならない。

そんなことはしたくない。
出来たら、このまま…たとえ付かず離れずの関係になったとしても…繋ぎ止めておきたかった。

もしも、彼の心が離れていくようなことがあっても……。

なんとかして、繋ぎ止めておきたかった。


馬鹿馬鹿しくて、女々しい藻掻き。
最低の予測しか出来なくて、何回静かな病室の中で、涙を流しただろうか。

優しさは、怖い。
こんな時は、何よりも確実な言葉が欲しい。
表向きの気の利いただけの台詞なんかいらないから…。


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