【完】Mrionation


嫌いになれたらいいのに。


愛しさが離れたら離れた分だけ…。


淋しさに負けて、違った温もりを求めてしまった私にも、勿論問題はあるけれど…それを彼は責めようともせずに、ただ「仕方がないよ」と笑ったんだ。


もう、私を見つめる心はないの?

そう、彼の顔を見て思うのだけれど…彼は私の瞳さえ見つめ返さない。

あんなに…優しかった彼。


「絶対に泣かせない」



と言った彼。


それでも、今の彼は私の知らない彼でしなくて…。


「好き」

「うん」

「大好き」

「…うん」

気持ちを伝えるほど、息苦しくなって体の温度は冷え切って行った。

こんな気持ちになるのなら、あの時。
頷かなければよかった。


簡単に壊れてしまうような、こんな愛ならいらなかった。


ずっと、一人で生きていこうと決心していたあの頃には、もう戻れない。

彼の温もりを、知ってしまったから…。



その日は、私にとって悲しい選択をする日となった…。

向かい合わせで、座るカフェテラス。
どちらも、口を開かない。
何か言ってしまったら、もう…此処にはいられないことを知っているから。

でも不意に…。


ピリピリピリ


彼のスマホが鳴る。

「ごめん」

と、徐ろに席を立って、何処かに消えてしまう彼。

もう、駄目なんだ。

これ以上は、無理なんだ。


私はそれを悟って、戻って来た彼に泣き笑いの顔で告げることにした。


「私達、別れよう?」

「暁良…?」

「…もう、続けていく意味ないよ…」

「けど…」

「ごめん…。もう、自信ない…」


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