ようこそ異世界レストランへ～食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます～

たちまち慌ただしくなる厨房だが、調理人たちは美奈の教えを忠実に守って料理してくれるし、徐々に手慣れて個々のスピードが上がってきたため問題ない。

余裕さえ感じられるようになったのを見計らい、美奈は厨房をいったん離れて客席の様子を見に行こうとする。

お客さんたちが美味しいものを食べて笑顔になるのを見るのも、料理を作ることと同じくらい好きなのだ。


できあがった唐揚げのプレートと、塩パンの皿を三つずつ配膳用のワゴンにのせる。

特別注文だというニンジンスティックも追加して、ワゴンを押した美奈はホールに戻った。


（ええと、これは二十七番テーブルの注文よね。よほどニンジンが好きなお客さんなのかな……）


二十七番と札のついたテーブルは、ホールの中程にあった。

そこでワゴンを止め、「お待たせしました」と笑顔を向ければ、三人の客が美奈に振り向いた。

獣人ではなく人間で、二十代半ばに見える見目好い青年がふたりと、彼らより二、三歳上に見える、大人っぽくて色気のある美女という組み合わせのグループだ。