ようこそ異世界レストランへ~食材召喚スキルで竜騎士とモフモフ手懐けます~
妖艶な雰囲気のある美女は、気さくな青年の隣に座っている。

彼女は強い赤みを帯びた茶色の髪を背中まで伸ばし、同じ色の瞳をしている。

「生のキャベツか……」と、隣の彼がそこに引っかかっていたら、「生野菜は美容にいいのよ」と彼女がフォローしてくれた。

指先で横髪を後ろに払う仕草が、なんとも色っぽい。

見た目も口調も女性そのものであるが、ハスキーな声は女性にしては少々低く、美奈は目を瞬かせた。


(もしかして男の人なのかな。でも、どこをどう見ても美人なお姉さんよね……)


全ての皿を並べ終え、「どうぞお召し上がりください」と声をかけた美奈に、三人はフォークを手に取る。

黒髪の彼は、もうひとりの青年と違ってニコリともしてくれず、無愛想な雰囲気がある。

その彼が、フォークで刺した唐揚げを、奇妙なものを見るような目つきでひっくり返して確認してから口に入れた。

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