この空の下
「施設長・・・隆哉さん」

遠くから呼ぶ声。

「はい」

どこにスイッチがあるんだろと思うほど、穏やかな顔になり呼ばれた方へ向かって行った。



相変わらず、空は不機嫌そう。

何も知らない麗子さんは、ニコニコと笑いかけている。


ああ、逃げたい。

早くここからに消えてしまいたい。



「麗子、飲み物とってこようか?」

自分の空いたグラスを見せて、麗子さんに手を差し出す。

すると当然、

「いいですよ、私が行きます。何がいいですか?」

「うーん、ワインあるかなぁ?できればスパークリング」

「はい」


麗子さんは消えていった。


フーン。

随分わざとらしいことするのね。
< 104 / 405 >

この作品をシェア

pagetop