この空の下
「来い」

隆哉さんは強引に私の腕を引いた。



「隆哉さん、待って」

必死で止めるけれど、聞いてくれそうにない。


引きずられるようにホールを出ると、廊下を進み今日の控え室として用意されている部屋に入った。




そこは展示用のモデルルーム。

家具も家電も入れられて、ちゃんとしたマンションのよう。



私はベットの上に放り投げられ、

その上から隆哉さんが覆い被さる。

逃げようとしても両腕を押さえつけらえて、抵抗もできない。


「暴れるな」

その声が、なぜか辛そうだった。



私は抵抗をやめた。


この事態を招いたのは自分だと思えた。

< 109 / 405 >

この作品をシェア

pagetop