この空の下
まるで抵抗しない隆哉さんを、空が締め上げている。

騒ぎに気付いた周囲の人達が声を上げだした。


「空、お願いだからやめて」

ここで騒ぎを起こせば、空も隆哉さんも困ったことになる。


ざわつく会場。

集まる視線。


このままでは大事になる。


たぶん数十秒のことだったと思う。

でも何時間にも感じた。


睨み合う2人。


どうしようかと考えていたとき、隆哉さんが動いた。


襟首を締め上げる空の腕を力ずくで離し、

ダンッ

突き飛ばした。


テーブルにぶつかり、床に倒れ込んだ空。

駆け寄ろうとした私は、動くことができない。

なぜなら・・・隆哉さんに腕を掴まれていたから。
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