この空の下
「梅さん、変わりないですね?」


診察室を出て、待合で待つ梅さんの様子を見る。

「はい。大丈夫です」

「じゃあもういいですよ。気をつけて帰ってください」



「ありがとうございました」

梅さんはお礼を言って帰って行った。


「あら、隆哉君」

「ああ梅さん。こんにちは」



梅さんと入れ替わるように入ってきた隆哉さん。

怖い顔で私を睨み付けている。



「あら、隆哉さん。珍しいですね」

事情を知らない多恵さんが久しぶりに現れた隆哉さんに声をかける。


「先生、ちょっと話せる?」

多恵さんには反応することなく、じっと私を見ている。
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