この空の下
「まだ患者さんが残ってるんです。急ぎでないなら後でこちらから連絡しますけれど」


本当はあまり話したくない。

できれば避けたい。

「手があくまで待つよ」って言うのか、おとなしく帰ってくれるかどちらかだと思っていた。

しかし、


「急いで話さないといけないことがあるから来たんだっ。何の話かは分かってるはずだろう」

珍しく声を荒げる。


「ちょっと」

慌てて隆哉さんの腕をつかんだ。


周りの患者さん達もチラチラとこちらを見ている。



「先生。修さんの注射だけ終われば後は私が見ておけますから」

隆哉さんと話してくださいと、多恵さんが言っている。



「隆哉さん、院長室で待っていてください」

聞こえたのか聞こえてないのか、返事もせず院長室へ向かう隆哉さん。
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