この空の下
考えてみれば、付き合っていた7年間。特に学生時代は、ほぼ空に食べさせてもらっていた。

買い物も空が払ってくれたし、高くて買えない参考書を買ってもらったこともある。

貧乏で借金だらけの私が無事卒業できたのは空のお陰かもしれない。


「あのさあ、お前は簡単に別れるっていうけれど、俺たちが過ごした時間って長いぞ」

「分かってる。空には感謝しているのよ。あなたが居なかったら、今の私はいない。でも、今のあなたには麗子さんが居るわけで、もう恋人には戻れない」

「そんなに難しく考えなくても、親しい友人の1人と思えばいいじゃないか」

大丈夫だからと微笑みかける空。

「親しい友人の一人ねえ」

あれ?
この台詞最近自分で言った気がする。



「じゃあ、今日ここで私と会っていたことを麗子さんに言える?」

「それは・・・わざわざ言う必要は無いだろう」

「違うでしょ。言えないんでしょ?」

空は黙り込んでしまった。
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