この空の下
空は休憩室のソファーで寝てしまった。


「あー、もう」

文句を言いながら、毛布を掛けてあげる。



「彼、かなりお酒が弱いね」

「ええ。大抵酔っ払って意識が飛ぶの。そんなになるなら飲まなきゃいいのにって言うんだけど」



空を寝かせた後は、少しだけ隆哉さんと飲み直し。


「この店って高くて有名な所だよね」

空が持ってきた唐揚げを食べながら、隆哉さんが紙袋を見ている。

「そう。空のお気に入りの店。学生の頃はいつもここで買い物をしていたの。もちろん支払いは空だったけれど」

「へー」

今度はコーンご飯をほおばりながらブイヤベースを一口。

「うまいね」

「そう?食材が良いからよ。みんな頂き物。患者さんが持ってきてくれるから」




「ごちそうさま」

そんなに食べて大丈夫だろうかと心配になるほど、隆哉さんは美味しそうに平らげた。
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