この空の下
その時、


プププ プププ
携帯の着信。

チラッと画面を見てから、

一瞬表情を曇らせて、その後隆哉さんは電話に出た。


「もしもし」


電話の相手に向かって、「うんうん」と相槌を打つ隆哉さん。

どうやら相手は彩葉さんのよう。


「だから、急な仕事なんだ。明日までに仕上げたい書類もあって。今日はホームの方に泊まるから」


「じゃあ、おやすみ」と言って電話を切って、

隆哉さんはテーブルの上のビールに手を伸ばした。


ゴクゴクと流し込み、

「ここに2人で泊めるわけにはいかないからな」

なんて、言い訳めいたことを言う。


私は、無性に腹が立っていた。

近くのクッションを投げつけてやりたい気分。
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