この空の下
「先生、すっかり人気者ですね」

楽しそうな多恵さん。


確かに、私がここで勤務するようになってから患者は目に見えて増えた。

ほとんどが老人で薬の処方ばかりだけど、皆楽しそうにやってくる。



「こんにちは」

こうしている間にも次の患者。



「センセー、今日は良い魚が捕れたから差し入れだ」

受付から顔を覗かせる、漁師の修さん。


「ああ、修さん。ありがとうございます。こんなに一杯」

日々こんな差し入れが来るのもここの良いところ。


「じゃあ、お昼にいただけるように準備しときますね」

魚を受け取り休憩室のキッチンへ消えていく多恵さん。


私はその間に患者を呼び、午前の診察を終わらせていく。
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