この空の下
うううっぅん。

いくら我慢しても漏れてしまう声。

それでも攻撃的な隆哉に屈したくなかった。

いつの間にか、私は奥歯を噛みしめていた。


その時、

スーっと涙が流れてしまった。


途端に、隆哉の動きが止まる。



「ごめん」


体を離し、涙を指でぬぐった。


「悪かった。泣かせるつもりじゃなかったんだ」


別人のように優しく私の頭をなでる。
< 294 / 405 >

この作品をシェア

pagetop