この空の下
踏み出す一歩

元彼

週明け。

何事もなかったかのように爽やかな朝を迎えた。


久しぶりに自分のアパートで眠ったせいか体調も万全。



「先生。お弁当いかがでした?」

多恵さんが心配そうに聞いてきた。

「美味しかったですよ。日向ちゃんも喜んで食べてました」

「良かったです。そう言えば先生」


テキパキと準備をしていた多恵さんが、突然手を止めて診察用の椅子に腰掛けた。



「土曜日、ボギーにいました?」

「え、ええ」

「そうですか。あの・・・余計なこととは思うんですが、」


膝がぶつかりそうな距離で、言いにくそうに私を見る。
< 62 / 405 >

この作品をシェア

pagetop