君を待った七年間〜一匹の犬の物語〜
ヨースケくんと過ごす日々は、本当に楽しいんだ。学校や習い事で忙しくても、家に帰って来たらヨースケくんはいつも僕を撫でて遊んでくれる。

そのたびに言いたくなるんだ。

「ありがとう。大好き」って。



季節は何度も巡って、僕は六歳になっていた。体もヨースケくんの家に来た頃より大きくなったし、もうトイレも覚えたよ。いたずらだってもうしていない。

ヨースケくんも、とても大きくなっていた。声も初めて会った時より低くなっている。

「母さん、今日部活で遅くなる」

ヨースケくんは中学生になったんだ。僕にはよくわからないけど、制服というのを着て自転車に乗って学校に行っている。

「気をつけてね」

お母さんがヨースケくんにお弁当を渡す。お弁当からはいい匂いがしていた。この匂いは、ヨースケくんの大好物のから揚げだね。

僕はいつも、ヨースケくんが家を出る時にはお見送りをするんだ。もちろん、帰って来たらお出迎え。
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