君を待った七年間〜一匹の犬の物語〜
「アポロ、行って来る!」

ヨースケくんが僕の頭を撫でる。僕は、「行ってらっしゃい」と尻尾を振った。

玄関の扉が、ゆっくりと閉まった。

お父さんとお母さんも仕事に行き、夕方にお母さんが帰って来た。ヨースケくんはサッカー部に入ったらしく、もっと暗くなってから帰って来る。

「アポロ、お散歩行こっか」

ヨースケくんの帰りが遅くなる時は、お母さんが僕の散歩に連れて行ってくれる。散歩から帰ったらすぐに夕食の準備だから、お母さんはとても忙しい。

僕は、ヨースケくんが最近買ってくれたおもちゃで遊びながら、ヨースケくんが帰って来るのを待っていた。今日はいつもより帰りが遅い気がする。

夕食ができ、お母さんが出来上がって料理をテーブルに並べる。今日はオムライスだ。僕も食べたいけど、僕は普通のドッグフード。

「ヨースケ遅いわね……」

お母さんが何度も時計を見る。しばらくすると、お父さんが帰って来た。いつもヨースケくんは、お父さんより先に帰って来るはずなのに……。
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