オレンジ色のROMANCE
女の子のそばにいき優しく
言い聞かせる。

「泣いてたらイジメの対象に
なるよ。笑えるか?
自分を守る為には、笑顔も、武器だ
よ。」


女の子は、クリっとした可愛い目で
拓成を見た。
瑞々しい目は小学生と言えど高校生の
拓成を魅了した。


「なんで泣いてたの?
名前は?」

「舞香‼
昨日ママが来たの。」

「来たって、ママが?」

「うん。
離婚?して、弟と妹がいるの..

だから、もうママじゃないの‼
バーちゃんがママになるって
ママはママじゃないって‼」


「そうか‼
辛かったな‼
ん〜だけどバーちゃんも
泣いてるぞ‼」

「えっ‼バーちゃんが泣いてる?
なんで?」


「いいか、舞香‼
バーちゃんは、お前の為に
言ったんだ。
優しいバーちゃんだな。」

舞香は、黒い綺麗な目をして、

「バーちゃんが泣いてる?
どーしよう。」
舞香は、また
「どーしょう。」
と、また泣きそうな大きな瞳に
泪が潤んでヒックヒックと肩を揺ら
した。

「ほら、舞香、また泣くのか?
泣いても解決しないぞ‼」
拓成は、頭を優しく撫でて

「いいか、困ったら自分に言うんだ。

大丈夫。
大丈夫だからってな。」

舞香はキョトンとした目をして
呟いた。

「だい..じょーぶ?」
拓成は、ニコニコ笑いながら大丈夫‼
そういった。

拓成の大丈夫を聞いていたら何だか
ホントに、大丈夫な気がしてきた。

「元気にただいまって言いな‼
バーちゃんが喜ぶようにな。

舞香が元気になれば
バーちゃんも、泣かないさ。」

道の端に咲いてるたんぽぽを拓成の
ハンカチに包み

「ほら、これをバーちゃんに
やりな‼」

拓成からたんぽぽを受け取り小さな
丸い手は、ゴシゴシと涙をふいた。

「ハンカチは…いっ返す?」

フフフ
「ハンカチは、あげるよ。
舞香が泣きたい時使いなよ。
そして笑う。
約束‼な‼。」

「うん、ありがとう。
お兄ちゃん。」

舞香も、そんな昔の事を拓成の
ベッドの下のあの時に似た匂いの
中でうっすらと思い出していた。

ワインのお陰かフワフワした。

優しい瞳...あれは
あれは..だれ?

タンポポは春のタンポポじゃなくて
秋の日の暖かい日が続いた小春日和
の、タンポポだった。

春のタンポポをみても
秋の小春日和のタンポポをみても
甘い思い出...

一見怖そうな、でも優しい彼
あの日のハンカチは、舞香のポーチに
変身して今もバックの中にある。
舞香の初恋。


舞香の大事な思い出。




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