オレンジ色のROMANCE
母親も、新しい父親との間に
弟と妹を産んだ
母親がたまたま弟と妹を連れ里帰り
した時、仁王立ちした婆ちゃんが、
母親を狭い庭に足止めをした。


「孫はこの舞香だけだ。
あなたも娘とは思わない。
舞香がお前に甘えたくてもその
子達に遠慮してるのが
分からないのか?
私にとっても孫かもしれないが
あまりにもこの子が不憫だ。

二度と来るな!

親不孝者が‼」

そう言って追い返した事がある。

幼心に何となく母親には、近寄り
難い所があった。


あの人に抱かれ甘え眠った事すら
分からない。

久しぶりにあった母親は
綺麗な女の人だった。

昔エプロンからにおった、湿布の
臭いじゃなく甘い香りがしていた。


弟も、妹も、いい服を来ていて
羨ましくなった。

「婆ちゃんが又服縫ってあげるから
生地を買いに行こうね。」

そう言って頭をシッカリ撫でて
抱きしめてくれた。

どんなに高い服よりも婆ちゃん
ブランドが最高だった。
手作りのカワイイ服は私に良く似合
ってた。


母親は、涙を浮かべていたが
何も言わなかった。

「奥様は早く帰られたら?
もうここには来られたら
困ります。

私はこの子の夕食の用意を
しますから....これで..」

と深く頭をさげた。
私もつられて頭を下げた。


母親は自分の母親と娘に頭を下げ
られ、他人行儀な挨拶をされ泣い
ていた。

祖父も、出て来て

「お前はお前で生きなさい。
婆さんも娘は、可愛いが舞香は1人だ
その子達には両親が揃っている。

それを見せびらかしてどうする。
辛い思いをしてきた舞香の前で
その子達を可愛がれるか?

わすれるな‼
舞香も、お前が産んだ娘なんだぞ‼

帰れ‼

もう顔を出すな‼

私達は、お前は居なかったと思って
い る。」

そう父親も、母親も、性格の不一致
母親は、浮気を繰り返し父親が遂に
暴力をふるいだし離婚した。


舞香は、ほとんど夜は1人
食べ物は、ポンと置かれた食パン
のみ、


2歳の子は、不満も言えず怯える
生活、ある日偶然やってきた祖父母に
発見され保護された。

子供は、笑いもせず泣きもしない。
全てを諦めたような表情をしていた。

祖父母の家に引き取られても部屋の
隅が落ち着くらしくいつもタオルを
咥えすみつこに顔を隠して過ごして
いた。

父親は、引き取ると言ってきたが
ガンとして断った。

それから何回も会いに来たが
再婚する事になり
新しい家族の事も、あり疎遠に
なってきた。


それからは祖父母だけが
頼りになって来ていた。

小さな舞香は、それなりに頑張る
事を覚えながら、人を見る目を
やしなった。

まだまだ甘えたい年頃なのに妙に
物わかりのいい子に育っていった。


ある日TVで高校の入学式がながれた。
おばあちゃんと赤い苺🍓をべながら
「あらまぁ~すごいねぇ~

一番頭のいい学校だよ~
このグレーに白の一本線
舞香ならこの制服着れるんじゃない
かい。」

「うん。婆ちゃん
着たーい。そしてこの人のように
校長先生に入学式で
ごあいさつするー。」

「そうかァー
これは新入生挨拶だよ。
頭のいい子がやるんだよ。
この学校で新入生挨拶した子は
偉くなるって、言われてるんだよ。
舞香頑張れ。」


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