【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 麻布のタワーマンションの車寄せに停車した。

 外側からドアマンに開けられ、私が車外に出る。と同時に柊吾さんも地面に長い足をつける。

 辻野さんはすでに大きめのバッグを肩から提げ、タブレットを抱えた状態で私たちを待っている。

 私たちは辻野さんの案内で歩を進める。

 エントランスホールでコンシェルジュの北山(きたやま)さんという男性に出迎えられ、挨拶される。

 私のお父さんと同じくらいの年代だろうか。五つ星ホテルのコンシェルジュだとしてもおかしくないくらいの清潔感のある男性だ。

 ホールは吹き抜けになっており明るく、御影石と大理石を使った内装は高級ホテルのよう。ラウンジもあり、座り心地のよさそうなソファが置かれている。

 辻野さんの先導で、柊吾さんと私はエレベーターに乗る。

「四十階建ての最上階になります。三十階にはラウンジバーがあり、スパやエステ、ジムなどの施設が一階から三階にかけてあります」

 私は最近のマンションはそんな設備まであるんだと、感心しながら聞いていた。

「柊吾さん、すごいマンションだね」
「そうだな。条件をクリアしたところを選んだんだ」

 パリのアパルトマンも素敵だったが、このマンションは近代的でまるっきり趣が違う。

 私はパリのアパルトマンのほうが好き。とはいえ、ここはパリではなく日本だ。


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