【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「最上階は三世帯のみですが、まだ入居はされておりません」

 辻野さんはエレベーターを降りて一軒目のブラウンの大きなドアの前に立ち、鍵を開ける。

 御影石が敷かれた玄関は広く、汚れひとつなくて足を踏み入れるのが申し訳なくなるくらいだ。

 パンプスを脱ぎ、スリッパに履き替え、室内へ入る。

 五メートルほど廊下がありその先のドアが開けられると、光が飛び込んできた。窓が一面に広がっていてとても明るく、日差しが降り注いでいた。

 そこはリビングで、すでにモデルルームのように洗練された家具が入っていた。

「お時間がなかったので、生活に必要な家具をインテリアコーディネーターに依頼してご用意させていただきました」

 辻野さんの説明に私は頷く。

 柊吾さんとの新生活だから家具など自分で選びたかったが、急な帰国だったし、すぐに必要なので仕方がない。

「素敵なインテリアですね」

 私が自分で選んだら、この部屋にそぐわないかもしれない。柊吾さんのためにはすぐに落ち着ける環境が不可欠だ。

「気に入ったかい?」

 柊吾さんが隣に来て口元を緩ませ尋ねる。

「なにもかも綺麗だから汚さないようにしないと」

 私がにっこり笑うと、背後で辻野さんが口を開く。


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