【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「心春! 心春!」
柊吾さん……。
瞼が重くて開かない。手が大きな手に包み込まれている感覚はわかる。
私……どうしちゃったんだろう……。
そのとき、女性とぶつかって飛ばされたことを思い出した。
その恐怖がよみがえり、誰かの手をギュッと握ってハッと目を開けた。
無機質な白い天井が目に入り、薬品のにおいがした。
「心春! よかった……」
柊吾さんだった。
「どうして……病院……?」
喉が渇いてしゃがれた声だった。
「暴動の現場に居合わせてしまったんだ。十五時間以上眠っていた。よかった……」
柊吾さんは瞳に安堵の色を浮かべたけど、表情がこわばっていた。
柊吾さんは東京からパリへ瞬間移動してきたのかと思うほどに、私の時間の感覚がない。
柊吾さんはいつも仕事へ行くときみたいにフルオーダーのスーツを着ている。
そこへフランス人の男性医師と女性看護師が姿を見せる。
「気がつきましたね」
男性医師は私の目にライトを当てて、瞳の動きを確認する。
「まだぶつけた側頭部は痛むでしょうが、MRIもレントゲンも問題ありませんでした。午後に退院を許可します」
「ありがとうございます」
柊吾さんは胸を撫で下ろしたような表情になって、男性医師にお礼を言う。