【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「結論から言えば、俺は君と結婚してもいいと思っている。いや、結婚したい。最初はまた見合いかと乗り気ではなかったが」

 私は目が飛び出そうなほど見開く。

「け、結婚したいっ!?」

 唖然と見つめる私に八神さんは端整な顔で微笑する。

「そうだ。そうすれば、うるさく結婚しろと言われなくて済む。父の目的は、若い嫁に孫を産んでもらうこと。俺がなかなか結婚をしないから業を煮やしていたんだ」
「ま、孫っ!? わ、私じゃなくても、あなたに相応しい人がいると思います」
「お父さんの会社がどうなってもいいと?」

 彼はイスの背に身体を預けて腕を組む。

「……それは……困ります」

「会社が傾けば、君はパリで勉強できなくなるだろう」

 結婚をしなくても八神物産の融資にありつけるなんて、虫がよすぎる話なのはわかっているけど……。
 シュンとうつむき考えを巡らす。けれど、どうすればいいのか、まったく思いつかない。

「契約結婚をしないか? 父の目的は気にしなくていい」
「えっ!?」

 顔を上げて食い入るように八神さんを見つめる。

「契約結婚……? どういうことですか?」
「俺がパリに駐在している間、再来年の三月までざっと約一年半か。結婚して、夫婦として暮らす。パリから日本に帰ってくるとき、本当に嫌だったら別れてもいいよ。お父さんの会社の融資は続ける」
「あなたにメリットがあるんですか?」

 当惑で、私の眉根がぎゅうっと寄る。

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