【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
「病人をソファに寝かせるわけにはいかない」
「もう治りました。柊吾さんは仕事があるんですから、ベッドでちゃんと眠ってください」

 仕事が忙しいから、日本滞在約一週間でパリへ戻ってきたはずだ。

「ならば一緒にベッドを使うしかないな。機内でも隣同士に寝たことだし。それでいい?」

 柊吾さんに無理はさせられないし、私をソファに頑として寝させないのでそうするしかないだろう。

 いちおう私たちは夫婦なのだと自分を納得させる。

「……はい。そうします」
「お腹が空いただろう? お粥がある。横になって待ってて」

 柊吾さんは私を横にさせると、濡れタオルを手に、寝室を出ていった。

 スッキリした気分と言ったものの、まだ身体が重たい気がする。

 少しして柊吾さんがトレイを持って現れた。私が身体を起こすと同時に部屋が明るくなった。

 寝室は高級ホテルのようなシンプルかつラグジュアリーな雰囲気。チェストやソファはアンティークで豪華さがある。

 トレイの上には白粥があり、塩昆布と梅干の小皿も用意されていた。

「美味しそう。柊吾さん、お料理ができるんですね」
「これくらいはできるが、料理はほとんど作らないんだ」

 ベッドの端に腰かけた柊吾さんは、トレイを私の膝に起きながら自嘲気味に笑う。

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