拾ったワンコが王子を連れて来た

「連絡ってなんのですか?」

生田さんは、
いつも仕事終わりに一緒に星を観るのに、何故今夜は来なかったと聞いて来た。

「行かないって連絡しましたよね?」

「だから、何故来ないのかって、心配になるだろ?」
最近ずっと行ってなかったし、そんな事、いちいち説明する必要ないでしょ?

「え? まさか、そんな事の為に帰って来たんですか?」

「いくら、連絡しても電話繋がらないし、ワンコロが居るから大丈夫だと思うけど…
それでもやっぱり」

心配してくれたのは有難いが、いや、大きなお世話、迷惑だ!
私達はそんな関係じゃない。
この人は、どんな女の為だろうと、大事な仕事放り投げて来るんだ…?

「私…こんな人の為に仕事失うの…?」
私は無意識に呟いていた。

「え?」

「生田さん、私達が噂になってること知ってますよね?」

「う、うん。 ちらっと聞いたけど、大したことじゃ無いだろ?」

ちらっと…か…
この人にとって、その程度の事なんだ…

「うちの会社(ホテル)社内恋愛禁止ですよね?
噂が立つと、どちらかが他部門への異動か、辞める事になるんですよ?
まぁ生田さんが、異動になる事は無いでしょうし?
きっと、私が辞める事になるんでしょうけど…」

「そんな事…」

「無いって言えませんよね?
生田さんが、会社の規定知らない筈無いですもんね?」

「…………」

無言なのが、生田さんの答えだ。

「兎に角、私は今の仕事を失いたく無い。
ですから、これ以上私に関わらないで下さい!」

「ちょっと待ってくれ!
会社が社内恋愛を禁止してるのは、それなりの理由がある」

でしょうね?

「その理由さえクリアーすれば、なんの問題もないんだ。
だから、君の他部門への異動や辞職する様な事は、絶対に無いと俺が約束する!」

どの立場から彼が言ってるのか、私には分からない。でも、ここまで彼に言わせたのには、私にも責任がある。

「生田さん…この際ですから、はっきり言っておきます。
私は誰の事も好きにならないし、勿論、恋愛する気もない。
それでも、私に好意を寄せてくれると言うなら、今すぐ、ここを出て行って下さい!」




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