限りある命と限りのない願い。
 代り映えしない病院生活で僕は久々にノートを開く。

 そこには数々の思い出と僕の願い事が沢山書かれていて。

 何故だろう、凄く懐かしく感じる。

 「ついこの間のことなのに…」

 そんなに日が経っているわけじゃないのに、遠い昔のように思えて悲しくなる。

 それでも思い出の中の僕や皆は楽しそうで…。

 「…僕が強気にならなきゃ、病気と闘ってるのは僕なんだから」

 支えてくれる人はいても、戦っているのは僕自身だ。

 気持ちがそこから溢れてきそう。

 悲しみも喜びも嬉しいも楽しいも全部が。

 まるでこのノートが僕に元気と勇気をくれているかのように思えた。

 僕は願い事が書いてある方を捲って見る。

 やりたいことがこんなにもあるのに、時間を無駄にしていたのは僕の方だったと気が付いた。
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