一筆恋々

【十二月二十日 静寂より手鞠への手紙】


前略
なかなか返事を出せなくて、本当に申し訳ありません。
どうしたら良いのか、私もずっと悩んでいました。

幼い頃、私は兄の存在に救われました。
この家で私を可愛がってくれたのは、兄だけだったのです。
兄を助ける為ならどんな事でもするつもりで生きて来て、その気持ちに変わりはありません。

兄が帰って来た事は大変嬉しい。
店にも未練は無い。
只、貴女の事だけはどうしても
(廃棄)


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