エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

「この間、一緒に営業車乗ってるところ見た。白坂が運転で、桜井が助手席」
「ああ、内見のとき、勉強するために白坂くんが同行してるの。最初は私が運転してたんだけど、白坂くん運転嫌いじゃないって言うし最近は任せちゃってるから、それで」

急な話題に、戸惑いながら答える。
なにか脈絡があっただろうか。

その前になんだか雰囲気がおかしい。ぴりぴりしている。

けれど怒らせるようなことはしていないし……と不思議に思いながらも歩いていると聞かれる。

「電話、あいつじゃなくても出てた?」
「……は?」
「結局、桜井も社長の甥だからって特別扱いしてるのかと思って」

一瞬、意味がわからなかった。
だから、すでに前を見ている芝浦の横顔をただぼんやり眺めて……数秒がたったあとで立ち止まった。

気づいた芝浦が数歩先で足を止め、体半分振り返る。

片側二車線の大通りを走り抜けていく車の走行音が聞こえるなか、目を合わせたままゆっくりと口を開く。

「電話は、先輩後輩関係なく、会社の人からなら出てた。芝浦がなにを思ってそんなこと言うのかはわからないけど……今のは、白坂くんにも私にも失礼だよ」

これくらいのことは女性社員からしょっちゅう言われるし、笑って流せないわけではない。
実際に今まではそうしてきた。

『そんなことないですよ。仕事ですから』って笑顔で答えてきたことだ。

……でも。


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