独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「仕事部屋のつもりだったけど、ほとんど使ってないんだ」
「あ、真梨子さんが会社に寝泊まりしてるって言ってた」
「そうしょっちゅうはやってないよ」

 蓮斗は苦笑する。

「半分、詩穂のスペースにするといいよ。もし個室が欲しければ譲る」
「ううん、半分でいいよ。私が使っていたパソコンデスクを置いてもいいかな?」
「もちろん。ラックを真ん中に移動させれば仕切りになるし、詩穂も複合機を使いやすくなるな」
「そうしてもらえたら嬉しい」

 蓮斗がスーツケースを部屋に運び込んだ。

「それじゃ、荷解きが終わりそうになったら知らせて。紅茶の用意をしておくから」
「あ、私、茶葉を置いてきちゃった」
「大丈夫。詩穂のためにいくつか買っておいたんだ」
「えー、嬉しいな。ありがとう」

 蓮斗が部屋を出て行き、詩穂はスーツケースのロックを解除して荷解きに取りかかった。



 そうして蓮斗との同棲生活が始まって、二週間近くが経った。会社では社長と部下という姿勢を貫いているが、一部の社員――真梨子や西野、とりわけ啓一――から思わせぶりな視線をときどき投げかけられる。
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