独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 仕方がないので、詩穂はパソコンデスクを置いてある部屋に行った。チェアに座ってスマホを操作する。

 ハンドメイド・コネクションのアプリを立ち上げて、“ショップを見る”のアイコンをタップした。すると、丸みのあるイラストで描かれた地図が表示された。ロールプレイングゲームで見かける町のような作りになっていて、湖のそばや森の中にカラフルな屋根の家がある。それらはすべてアプリ利用者が出店している店だ。店の外観は形から屋根や壁の色まで、好きなように変えることができる。また、店をタップすると“手作りアクセサリーショップ”“合わなくなった洋服をリメイクします”“あなただけのオーダーメイド浴衣の店”など、店の紹介文が表示されるのだ。

 さらに、掲示板もあって、こういうものを作ってほしいといった要望を出したり、必要な材料についてアドバイスを求めたりすることも可能だ。

 詩穂はさまざまなショップを覗き、羊毛フェルト小物の店を見つけた。以前、テレビの番組で見たのだが、まるで綿のようにふわふわした羊毛フェルトを、ひたすらニードルでチクチク刺して固めながら、形を作っていくというものだ。出来上がった動物は独特の丸みと温かさがあって、リアルながらもかわいらしかったのを覚えている。
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