私が恋を知る頃に
疲労

楓摩side

夜勤の先生と看護師さんから申し送りを受け取って、カルテを見る。

昨夜はなかなか大変だったようだ。

穂海ちゃんがついに今までの感情を爆発させてしまったらしく、瀬川くんに陽向、日翔が対応に当たってくれたようだった。

日翔が当直だったのは、本当に幸いだったな。

瀬川くんはもちろんまだ経験が浅いし、陽向も外科の方面では経験が豊富だけど、心のケアの面ではそんなに経験がなかったから、日翔が来てくれたおかげで事なきを得たという所も大きいだろう。

病棟回診の前のカルテ回診をしていると、噂をすればの瀬川くんがやってきた。

「おはようございます。」

「おはよう。昨日は、大変だったみたいだね。お疲れ様。」

「いえ…」

そういう瀬川くんの様子が気になって、少し顔を覗き込む。

「……あれ、瀬川くん顔赤くない?」

「えっ」

ほんのり顔が赤い気がする。

つい癖で、体温計を渡す。

「あ、ありがとうございます。」

熱を測ってもらうと、37.0

微熱か平熱かも微妙なラインだ。

「体調、大丈夫?無理はしなくていいんだよ。」

「いや、大丈夫です。少し昨日の疲れが残ってるみたいで…。でも、疲れてるのは佐伯先生も園田先生も同じなんで!」

何となく空元気のような気がした。

でも、確かに昨日の疲れというのはあるんだろう。

医者は、夜勤からの日勤も珍しくないから、仮眠を取ったとはいえ数時間では体も休まらないだろう。

まあ、何かあれば俺が休ませればいいし大丈夫でしょう。
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