私が恋を知る頃に

碧琉side

コンコンッ

「失礼します。穂海ちゃんちょっとごめんねー入るよー」

「園田先生!」

さっきから、また急に穂海の様子がおかしくなった。

突然、息が荒くなったと思ったら泣き出してしまって、一回落ち着きかけたのに、またひどくなって……

「その、さっきから、突然……」

「うん。状況はなんとなくわかってるよ。ちょっと危なそうなのを感じたから入ってきちゃった。」

園田先生はそう、いいながら穂海のもとへ駆け寄る。

「穂海ちゃん、ごめんね。ちょっと苦しそうなの外まで聞こえてきたから、心配で様子みに来ちゃった。……今、苦しいね。どうして苦しいか、言える?」

「はあっ、はあっ……、な、んか…っ、さっき、から……はあっ…、くるし、の、きえなっ」

「うん。うん。苦しいのが消えないんだね。苦しくなっちゃう気持ちが消えないってことかな?」

園田先生がそう聞くと、穂海はコクコクとうなずいた。

「そっか、そっか。苦しい気持ち消えなくて、息もつらい感じだね。うん。どうしようか、一回気持ちを落ち着かせるお薬つかう?今ね、たぶん穂海ちゃん自分で苦しい気持ち落ち着かせるの難しいと思うんだ。それは、穂海ちゃんが悪いとかじゃなくて、息も苦しいから、体がびっくりして追いついてないだけだから大丈夫だよ。だから、お薬を使うことを悪く思わないでね。それで、穂海ちゃんはどうしたい?お薬、つかってみる?」

「く、すり……、つか、たら……っ、苦しく、なくなる?」

「うん。お薬使ったら、少しぼーっとして今、穂海ちゃんの心にあるいやな感じが、薄れて楽になれるとおもうな。」

穂海は、その言葉を聞いて、少し考えてから、大きくうなずいた。

「わかったよ。じゃあ、今お薬持ってくるね。急いでとってくるから、もう少しだけ頑張ってくれる?」

コクン

穂海はまた辛そうに涙を流した。
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