私が恋を知る頃に
「なるほど…。勉強になります。」

先生が説明してくれたことをメモに残す。

精神科の観点から見るとこう捉えられるのか、と違う側面も見れて今後に活かせそうだ。

「うんうん。いいね、その学ぶ姿勢。教えてるこっちも、気持ち良いよ。」

そうニッコリ笑った園田先生。

先生、いつも優しすぎるでしょ……

もしも、この病院で上司にしたい医師ランキングがあったらきっと上位だろうな、なんてくだらないことに思いを馳せる。

「いえ、このくらい、まだ俺は知識が足りないので当たり前ですよ。…むしろ、こんなに丁寧に教えてくださってありがとうございます。」

「いいのいいの。」

またニコニコと笑ってくれる園田先生の様子に安心を覚えつつ、俺は小児病棟のナースステーションに折り返しPHSで電話をかけた。

ピリリリリッ

ピリリリリッ

「はい、小児病棟ナースステーション 稲村です。」

「もしもし、小児科の瀬川です。先程の面会についてなんですけど、許可しますね。」

「ありがとうございます。では、もう通して大丈夫ですか?」

「あ、いえ。…今から一応、穂海の様子を見てからにするので少し待つように伝えてください」

「わかりました。」

PHSを切って一度息をつく。

穂海の様子みて、大丈夫そうなら面会してもらって…

一応、何かあった時のためにナースステーションで待機していた方がいいかな……

「じゃあ、穂海の所行ってきます。先生、今日は何から何までありがとうございました。」

「いいえ~。というか、僕も途中までそっち方面だから一緒に向かうよ。僕も穂海ちゃんの様子、少し診たいしね。」

「はい!では、一緒に行きましょう。」

そう言って園田先生と共に医局を出た。
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