黒と白の羽

夢は幻想

鈴羅に剣を振り下ろす騎士の一人。



「・・・哀れかしら・・・この気持ちは何なのかしらね」



悲しく笑い呟いた鈴羅。



『鈴~?やられる訳にはいかないから私達を呼んだのでしょ!?』

『鈴!早く!命令してよ!斬られちゃうよ!』




必死に叫ぶ精霊達。その声はリークにも聞えていた。



「そうね・・・やられる前に呼んだからね・・・でも・・・ヤッパリ哀しいよ」



鈴羅は・・・鈴羅を中心に火柱が立った。天を貫くような大きな火柱が。



『鈴~私達が居るから・・・独りじゃないんだよ~』

『私達のいるところが鈴の居場所でしょ~?』

『鈴が居るから~ボクもここに居るんだよ~』



精霊は鈴羅の周りを飛んだ。


リークからは・・・その鈴羅の姿が・・・幻想的に見えた。



『鈴~ボク達の居場所は鈴の居場所だからね~』



「分かった。そうだったな・・・私の居場所は精霊たちの居場所だったな」




ニコっと笑う鈴羅。



少しずつ・・・火柱が消えていく。否、消えていくのでは無い。



縮小でもなく減退でもなく・・・収束なのだ。



体積だけを縮めでどこまでも密度を上げていく。








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