俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
たわいないことかもしんないけど、これって案外その人間の根っこの部分が見える大事なことだったりするわけで。

『困ってる人を助けたい』っていう人間として当たり前に持ってるはずの良心を、実は持ってないやつってそことかしこにいるわけで。

とりあえず椛田梓希の心の根っこは綺麗だなと思ったら、俺はなんかこいつの一番近い人間になりたいってものすごく思うようになってしまった。

それこそもう、『あ。俺、絶対こいつと結婚しよう』なんて勝手に決心してしまうほどに。



と、まあ、そんなふうに俺が椛田に惚れている間に、他の男もこいつのよさとか隠れ爆乳に気づき始めてしまうという事態が起きはじめた。

これはいかんと思い、早々に彼女を飯にでも誘って自分のものにしようと焦っていた矢先。飲み会で椛田が男に口説かれている場面に遭遇してしまった。

居酒屋のトイレに向かう通路の隅で、椛田は違う部署の先輩に壁ドンされながら「ふたりで抜けない?」などとベタな誘いを受けていた。

めっちゃムカついたので邪魔してやろうかなと思ったとき。

「ご、ごめんなさい。嫌です。そういうの無理です」

椛田はチワワみたいに怯えながらも、ひたすら首を横に振ってきっぱりと誘いを断った。

苦々しい表情を浮かべながら「そう? ごめんね」と壁ドンを解除した男を遠目に見ながら、俺は密かにあれが自分じゃなくてよかったーと安堵の息を吐いた。
 
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