「パク、夕方までには帰ってくるんだよ。」
そんな事を言われなくても、そうするつもりだった。日が沈んでからは、あの目に見えない力はさらに力を増す。もし、そうなったら、鍛冶屋のヤンダルが作った自慢の鎖でも、僕はどこかにさらわれてしまうだろう。
外に出て、一番はじめにする事。それは鎖を、村中に張り巡らせてあるワイヤーに結びつける事だ。これをしなければ、僕らはどこに行く事もかなわない。そして、この作業こそが、一番注意しなければいけない事だった。
一つめの扉を開けた。そこは、家の中と外の世界の中間にある部屋になっている。この部屋に、家族の鎖がそれぞれ用意されている。
「よいしょ。」
パクは重い鎖を取り出した。ずっしりと手にかかる感触は、子供のパクには不釣り合いなものだった。まず、足首に固定具を付けた。これも鎖と同じように重い。
「ふう。こんなの付けたくないなぁ。」
そう言いながらも、固定具をはめた。そして、次に肝心の鎖をはめた。
「よし、準備完了。」
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