パクは、二つめの扉をゆっくりと開けた。二つめの扉を開ける時、必ずゆっくりと開けなければいけない。もし、一気に開けたりしたら、扉ごと目に見えない力にさらわれてしまうからだ。
パクの小さな体に、大きな力がのしかかる。
「うわ。今日は一段と力が強いな。」
渾身の力を込めて、玄関の前にあるワイヤーに鎖をはめようとした。
今日は、いつもより気温が低かった。そのせいで、パクの掌はかなりかじかんでいた。思うように手が動かず、なかなか鎖をはめる事が出来ない。
「あれっ、あれっ・・・。」
手間取っている間に、大きな力がパクの体を運ぼうとした。
「うわわわぁぁ。」
まるでボールのように転がった。天地、どこを見ているかわからなくなる。どんどん、どんどん、どこかにさらわれるように運ばれている。
「たす、助けて・・・。」
< 3 / 79 >

この作品をシェア

pagetop