「ありがとうございます。助けてくれて。」
パクとミルルは声を揃えて、ふたりに礼を言った。その言い方は、どこかよそよそしく、違和感を覚えずにはいられなかった。
「何、パク。その言い方、まるで、よその子供みたいよ。」
ロドは笑いながら言った。しかし、その笑いは一瞬で凍り付いた。
「あれ、おばさんはなんで僕の名前を知っているんですか?ミルル、このおばさんの事知ってる?」
「えっ、知らないよ。」
首を横に振った。ロドにはそれが、全てを拒絶しているように感じられた。
「どういう事?お母さんよ、わからない?そして、あそこにいるのがお父さん。」
顔をはっきりと見せようと、テミロは近づいてきた。
「お父さん?本当ですか?」
真剣な瞳に、本当に父親だったのか自信を失った。
「あぁ、お父さんだよ。覚えてないかい?」
やさしく言われれば、言われるほど、パクには圧力として感じられた。
「ごめんなさい。本当に、ふたりの事、わかりません。」
「私もわかりません。ごめんなさい。」
色々な気持ちが交錯し、押さえきれなくなっていた。ふたりは、大粒の涙をこぼしながら、必死に謝っていた。
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