オーロラの下、君を想う



二月の下旬、真冬は着替えやパスポートを持ち、北欧へと旅立った。

仕事先から「しばらく休んだ方がいい」と言われ、長い休みをもらったためだ。こんな時しか旅行には行けない。

真冬は飛行機の中で考えた。なぜ、北欧に行こうと思ったのか。北欧は真冬にとって悲しい記憶の一部だというのに……。

「……あ、そっか」

真冬は、遠い存在となってしまった彼を頭に浮かべる。そして、彼に呼ばれているのだと感じた。

「すぐそっちに行くからね」

彼と思い出を作るはずだった場所で死のう。真冬はそう思いながら、ノルウェーに降り立った。

北欧とは、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの五つの国のことだ。日本よりずっと寒い。

真冬はノルウェーとスウェーデンを旅し、フィンランドに入国した。雪が降っているため、真冬はマフラーを強く巻きつける。

フィンランドの首都、ヘルシンキは「バルト海の乙女」とも呼ばれ、歴史ある数々の建物がありとてもモダンな街だ。真冬は、その街をぼんやりと見つめる。
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